病名 肩腱板断裂

症状

中年以上の男性、右肩に好発します。肩の運動時(腕をあげたり、さげたり)するときに痛みが生じることが多いです。夜寝るときに肩の痛みが気になったり肩の痛みで夜間起きたりすることがあります。断裂部が大きいと反対の手で支えてなら腕を上げることができますが支えがないと腕が上がらないようなことが起こります。また特に腕が痛いと言われることもあります。

筋肉の萎縮が起こって鎖骨の後ろ側や肩甲骨のあたりが痩せて見えることがあります。

原因と病態

 肩関節を構成する上腕骨頭を肩甲骨側の浅い受け皿に安定した状態で動かすために4つの筋肉の板状の腱が上腕骨頭の周りに囲むように付着しています。この4つの筋肉の板状の腱を腱板と呼びます。腱は肩甲骨と上腕骨に挟まれ、肩甲骨側の骨棘と擦れたり腱板の老化変性が関係していると考えられています。時に肩を強く打ったりして外傷が原因のこともあります。スポーツや重労働も断裂の原因になることがあります。男性の右肩に多いことから、肩の使いすぎが原因となってことが推測されます。

4つの腱のうち棘上筋と呼ばれる腕を挙上する際に使われる筋肉の腱が断裂する頻度が高いです。断裂には様々な程度が存在し完全にまた広範囲に断裂するものから不完全に小さい範囲で断裂するものまであります。

診断

 レントゲンで診断ができることもありますが腱板自体はレントゲンで映らないためMRIが確定診断に必要なことが多いです。また症状の原因になっているかは症状や肩を動かした際の痛みなどで総合的に判断します。

予防(日常生活での注意点)

 重いものを持つような重労働は控えた方が良いでしょう。

治療

 保存的加療として注射、リハビリ、湿布、痛み止めの薬などを組み合わせて行っていきます。注射は痛みが強いときは有効です。

理学療法士によるリハビリが有効です。

 しかし保存的加療でも痛みや機能的障害が残る場合、手術が必要となることがあります。切れた腱は血流が乏しい組織になるので自然と治ることは稀です。一般的には断裂した腱の修復には手術を要しますが擦れて擦り切れた腱は縫合しても再断裂が生じたり腱がうまく引き出せなかったりして手術による修復も困難なことがあります。ケガで生じた場合手術になる割合は増加します。しかし手術をしなくても保存的加療で疼痛が軽快したり機能的にもよくなることも多々ありますので専門医とよく相談して判断しましょう。

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